バイクの帰還

約10日後、バイクが帰ってきた。痛めていた膝も、すっかりよくなっている。
バイクは一度すべて分解され、各部のグリスアップに加えて、スプロケット、チェーン、ワイヤー、ブレーキフルードなども交換されていた。すでにボロボロになってしまったグリップテープも新品。


他にも作業した箇所について詳しく教えてもらったものの、今の私にはまだ分からないことが多い。
「まあ、すべてしっかり整備してあるので、安心して乗ってください」
説明を終えて立ち上がろうとした店長さんに、私は切り出した。
「今度、佐賀に行くんですけど、このバイクを連れていきたいんです」
数秒の沈黙のあと、店長さんが口を開いた。
「飛行機輪行ですか?」
「はい。いろいろ調べて、多少リスクがあることも承知しています。どうにかなりませんか」
「調べたなら分かると思いますけど、このバイクはカーボンフレームなので、衝撃でフレームが割れることもあります。飛行機では普通に投げられてしまうこともありますからね。一番怖いのは、リアディレイラーがぶつかって折れることかな。輪行するより、箱詰めして現地に送ってしまう方法もありますけど、それでも輪行で行きます?」
「できれば輪行したいです。前後のタイヤを外して」
「それなら、前輪だけを外すタイプの方が、到着してからすぐに組み立てられます。飛行機にも載せられますよ」
店長さんはカタログを取り出しながら言った。
「正直、飛行機輪行自体をあまりおすすめできるわけではないんですけど、出発はいつですか?」
「今月末です」
再び、数秒の沈黙。
「ツール・ド・つくばもですけど、また時間がないですね」
「なんかすいません」