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ロードバイク

初めての輪行で佐賀へ【3日目】人生初のパンク、それでも志賀島へ

6月28日 志賀島までロードバイクで走ってみた

朝早く起きて、不要な荷物を自宅へ送った。手元に残したのは、カメラの入った16Lのショルダーバッグだけである。

天気がよければ、佐賀の吉野ヶ里から真っすぐ北上し、脊振山を越えるつもりだった。しかし朝から山には雲がかかっており、右膝の調子も万全ではない。今回は山を避け、大きく迂回するコースを選ぶことにした。

計画はこうだ。吉野ヶ里から鳥栖市を通って太宰府へ向かい、一蘭 太宰府店でラーメンを食べる。その後は西へ進んで糸島市の二見ヶ浦へ向かい、海岸沿いを走りながら屋台ラーメンと志賀島を巡り、最後に福岡空港へ戻る。すべて走れば総距離は120kmを超える。何かトラブルがあった場合は、糸島、屋台ラーメン、志賀島の順に諦め、余裕をもって19時15分発の成田行きへ乗る予定だった。
完璧な計画である。計画だけは。

山を避けたはずなのに登っている

午前8時30分、吉野ヶ里温泉ホテルを出発した。まずは鳥栖市へ向かう。しかし、ひたすらの上り坂である。
山岳コースを避けたはずなのに、なんで登っているんだよ。

恐らく山のぎりぎりを通るルートを選んだため、脊振山の裾野を走っていたのだと思う。ここに来て、ようやくGoogleマップの等高線を確認した。あと20kmほど走れば下りに入り、その先は市街地の平坦な道になるらしい。まだ万全ではない右膝をかばいながら、ひたすらペダルを踏む。

しばらくすると、高速道路にしか見えない道へ迷い込んだ。これ、自転車で入っていい道なのか。引き返すには逆走するしかないため、そのまま恐る恐る走っていると、「自転車に注意!」という看板が目に入った。自転車が通ることは想定されているらしい。安心した。

登り坂は、まだまだ続く。

人生初のパンク修理に失敗する

スタートから約20km。もう少しで下りに入るという安心感から、少し油断していたのだと思う。地面に敷かれていた厚さ2cmほどの鉄板へ、かなりのスピードで突っ込んだ。

あっ、と思ったときには時すでに遅し。そのまま100mほど進んだところで、前輪が少しずつしぼんでいった。人生初のパンクである。

大丈夫、大丈夫。そう自分に言い聞かせながら、自転車を日陰へ運び、予備のチューブと工具を取り出した。輪行の要領で前輪を外し、タイヤを取り外す作業へ入る。実は、この作業は完全に初体験だった。輪行の練習だけでいっぱいいっぱいだったため、パンク修理の練習までは手が回らなかったのである。

工具を使ってタイヤを外し、古いチューブを抜き取る。タイヤの内側を指でなぞってみたが、異物が残っている様子はない。新しいチューブを少しだけ膨らませ、タイヤの内側へ入れていく。そのままタイヤを少しずつリムへはめ込んだ。

最後の部分を押し込むのにはかなり苦労したが、どうにか入った。あとは空気を入れるだけである。なんとかなったぞ。

そう思いながら携帯ポンプで空気を入れていると、突然、プシューという音がした。見ると、チューブのバルブが抜け落ちている。

え、どういうこと? これって、外れる部品なの?

取れてしまったバルブの根元を見ると、どう見ても折れていた。原因はまったく分からないが、どうやらパンク修理には失敗したらしい。

私は10分ほど空を仰いだ。この1時間、誰ともすれ違っていない。たぶん、ここで待っていても誰も助けてはくれない。まだ佐賀に滞在している父や親戚へ連絡することも考えたが、やめた。

オトナだろ。死ぬわけじゃないんだから、勇気を出そう。

パンクした前輪と自転車を担ぎ、とりあえず下山を始めた。せっかくの下り坂を、なんで自転車を担いで歩いているんだ。肩にはカメラの入った重いショルダーバッグが食い込んでいる。今すぐ捨てたい気持ちをこらえながら、Googleマップで自転車屋を検索した。

最寄りの店まで、10km以上ある。どうしたものか。

砂漠のオアシス、イオン

30分ほど、とぼとぼと歩いていると、田園風景のはるか向こうにイオンが見えた。砂漠でオアシスを見つけた気分である。

さすがにくたびれてきたので、前輪をフレームへ戻した。前輪になるべく体重をかけず、押して歩く分には大丈夫だろう。ひたすらイオンを目指す。

結局、1時間弱歩き、イオンの自転車屋でパンク修理をお願いした。待ち時間を使って、店内のバーガーキングで補給する。このあとすぐ一蘭でラーメンを食べる予定だが、もう耐えられなかった。

修理は1時間弱で完了した。出発から、すでに3時間半ほど経過している。予定どおりなら、そろそろ糸島へ着いていてもおかしくない時間だった。

頭の中で残り時間を計算しながら、とにかく一蘭 太宰府店へ向かう。前日に親戚のおじさんから勧めてもらった店で、帰りに立ち寄ると約束していたのだ。

一蘭は29組待ち

走行距離33km地点で、ようやく一蘭 太宰府店へ到着した。受付をしようとすると、まさかの29組待ちである。

まじか。

一瞬迷ったが、待つことにした。帰りに食べていくと、おじさんと約束したのだ。男なら、守れる約束は守らねばならぬ。

待ち時間を使って、この先のルートを再検討する。と思ったら、スマートフォンが熱暴走して動かなくなった。気温はそこまで高くなかったが、直射日光を浴び続けたことで本体が熱くなったらしい。

どう考えても、ここから糸島へ向かうのは無理である。屋台ラーメンも諦めた方がいいだろう。一蘭を食べるのだから、もうラーメンはいい。

スマートフォンが動くようになるのを待ち、最優先にしていた志賀島までの距離を確認した。ここから40km弱。13時30分に一蘭を出て、時速20kmほどで走れれば、2時間程度で到着できるはずだ。志賀島から福岡空港までは、およそ25km。

合計65km。志賀島でゆっくりしなければ、計算上は17時頃に空港へ到着できる。何かトラブルがあれば、最寄りのJR駅から福岡空港まで輪行すればいい。

一蘭は上野店でも食べたことがあるが、味がまったく違って驚いた。まず、豚骨特有の臭みがほとんどない。スープもすっきりしていて、甘みが強かった。チェーン店でも、ここまで味が変わるものなのか。

確かに、これはおいしい。帰ったら、東京でも久しぶりに一蘭へ行ってみようと思う。

博多の信号を甘く見ていた

予定どおり13時30分に一蘭を出て、ひたすら北へ進んだ。しかし、福岡市内へ入った途端、信号で止まる回数が一気に増えた。

もう少し速く走れれば、信号に捕まる回数も減るのかもしれない。だが、すでに右膝の痛みが再発しており、スピードを上げられなかった。少し、まずいかもしれない。

57km地点で、ようやく海岸線へ出た。時刻は15時30分。平均時速にすると、10km/hほどしか進んでいない。予定の倍の時間がかかっている。福岡市内の信号の多さを、完全に見誤っていた。

海岸線へ出ると信号が減り、ようやく予定どおり時速20kmほどで走れるようになった。快調に進んではいるものの、疲労が限界に近づいているのが分かる。すでに2回補給しているのに、また空腹を感じ始め、集中力も切れてきた。

追い風に乗って、速度は35km/hまで上がった。しかし車の往来が激しくなってきたため、歩道へ入った瞬間、何かに乗り上げた。自転車ごと車道へ飛び出しそうになる。

死ぬかと思った。

衝撃でビンディングが外れ、両足をペダルへぶつけた。しばらく痛みで動けなかった。思っていた以上に、限界が近いのかもしれない。どこかで補給しよう。

金印ドッグをくわえて志賀島へ

16時、71km地点で「金印ドッグ」の看板を見つけた。確か、これは有名な食べ物だったはずだ。ホットドッグならすぐに出てくるだろうと思い、立ち寄ることにした。

しかし、いくら待っても出てこない。結局20分ほど待ち、出てきたものを見て納得した。

普通のホットドッグではない。パンの上にはステーキのような肉が乗り、全体をオーブンか何かで焼いてある。

ダメだ。もう時間がない。

もったいないけれど、金印ドッグをくわえたまま自転車へまたがり、走り始めた。肉だけかと思っていたら、どこか海鮮の香りもする。ソースはオーロラソースに近く、塩辛のような味もする気がした。

しかし、中身を詳しく分析する前に食べ終わってしまった。

志賀島まで、あと2km。時刻は16時20分。非常にまずい。それでも、ここまで来て引き返す気にはなれなかった。

全力でペダルをこいでいると、突然、視界が開けた。空気が変わる。

海だ。

海の向こうに、志賀島が見えた。海へ向かって伸びる真っすぐな一本道。その先には、思っていたよりも大きな島が広がっている。潮風が全身にまとわりついた。

疲れが一気に吹き飛んだ。

スタートから73km。時刻は16時30分。

志賀島に到着。即、折り返す。

もう、自転車で福岡空港まで向かうのは無理である。

10分で輪行する

最寄り駅は、JR香椎線の終点である西戸崎駅。福岡空港での輪行準備も考えると、間に合う可能性があるのは16時51分発の電車だった。

10分で5km先の西戸崎駅へ着き、さらに10分で輪行すれば間に合う。

いや、10分で輪行できるか?

考えても仕方がない。とにかく無心でペダルを踏んだ。輪行に使える時間を、1分でも多く残さなければならない。

西戸崎駅へ着いたのは16時38分。急いで自転車を降り、輪行を始める。フレームと前輪、ハンドルを固定したあたりで、電車がホームへ入ってきた。

輪行袋へ自転車を押し込み、そのままホームへ走る。なんとか電車へ駆け込むことができた。

17時46分、福岡空港へ到着。また小走りでピーチの窓口を探し、その場で飛行機用の輪行準備を始めた。今度はリアディレイラーも外し、緩衝材も入れる。

どうにかチェックイン締切の10分前に、すべての手続きを終えた。無事に飛行機へ乗ることができた。

本日の記録と教訓

総走行距離は77.62km。移動時間は4時間37分59秒、経過時間は8時間26分55秒。獲得標高は473mだった。
パンク修理、意図しない徒歩移動、補給や待ち時間によって、8時間半の行程のうち約4時間を使っている。まさか、ここまで時間を失うとは思わなかった。

また、佐賀福岡の2泊3日で撮影した写真枚数に絶望した。
スマホで35枚。Nikon Z30で46枚。Nikon Z8で20枚の計101枚。
そもそも全体的に走行に余裕がなかったこと、それからショルダーバッグに入れた大型一眼カメラをとりだすのが想像以上に億劫だったのが敗因だ。

本日の教訓
・ナビが示した経路を、平地だと思ってはいけない。
・予備チューブは2本持っていてもいい。
・機材トラブルでは、1時間程度のロスを想定しておく。
・観光地での食事は時間がかかる。
・暑い日は、ナビに使うスマートフォンが熱暴走する。
・重いショルダーバッグも駄目、絶対。
・カメラは取り出しやすいよう工夫が必要。

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