VPの解説が一通り終わったので、これからしばらくVPそのものについて考察する連載をしてみようかと思う。
1年かけて写真について解説してきたのは、こういう話を書いてみたかったからなんだよね。
専門用語の解説はいちいちしないので、過去の記事を読むなり調べるなりして、読みたい人だけ読んで頂ければと思います(わからなかったらtwitterとかで質問してくれて大丈夫ですよ。怒ったりしないのでw)。
目次
Virtualという単語
個人的に、そもそもVirtualとはなんなのか、というのがずっと気になってる。
例えば、Virtual Photographyに対して、実物のカメラで撮影した写真をReal Photographyと言いたくなったりするのだけど、なんとなく違和感があるわけ。
Virtualって結構面倒な単語で、元の意味は「(名目上では違うが)実質上の、実際の」みたいな意味で使われる単語。これの対をなすのがnominal「名目上の」という単語で。航空、宇宙業界で「定常、正常の」的な使われ方もしたりする単語。この場合の反意語はOff-nominalで、運用上の異常事態が発生してるから関係者は聞きたくないヤツ。
今はどちらかというと、コンピュータ用語として「仮想の」と和訳されることが多いのかな。光学的(物理)にはvirtual imageで「虚像」となるので、ここで初めてvirtual image(虚像)の反意語がreal image(実像)になる感じ。まぁでもこれは違うわな。Virtual Photographyのvirtualのイメージとして一番近いのはコンピュータ用語としての「仮想」なのかな?たぶんそうだよね。
virtual imageの反意語はreal imageなんだけど、virtual「(名目上では違うが)実質上の、実際の」の反意語であるnominal「名目上の」の反意語はrealだったりするわけですよ。virtualってrealだったの?ってなるよね。
時代の変化によって様々な意味を内包するようになった単語には、こんなことがよく起こります。そういうもんです。
写真データとVP
さて、私は日常的に実物のカメラで写真を撮影するのだけど、メインの機材はNikonのデジタルカメラ。デジタルってことは、フィルムではないということ。フィルムカメラのことをアナログカメラなんて呼ぶこともあるんだけど、まぁいいや。実際のとこ、フィルムで写真を撮ったところで、そこら辺のカメラ屋さんに持っていくとデジタルスキャンされてプリントされるから、実は最終アウトプットはデジタルなんだってのは脇道にそれ過ぎ?それ過ぎて溝に落っこちてる?
私は仕事で撮った写真も、ゲーム内で撮った写真も、PCで管理してるわけですよ。どっちもデジタルデータだからね。最近のゲームは本当にグラフィックがきれいなので、気を付けないとサムネイル画像では見分けがつかなかったりする。
実務上は仕事で撮った写真も、ゲームで撮った写真も同じ形式で扱ってるから、なんとなくVitualって言われてもなぁって思ったりしちゃうわけ。撮影している空間は確かにゲーム内(仮想空間?)なんだけど、アウトプットはデジタルデータなわけですよ。
結果として、フィルムもデジタルもゲームも同じわけ。このあたりが不思議なんですよね。名が体をなしてない感じ。
大切なのは文化として盛り上がること
とはいえ、よい代案があるかって言われるとなんもないのでVPでいいです(なんだったんだよ)。まぁ、言葉の使い方ってうつりゆくものなので、あんまりこれが絶対正しい!みたいなことは言わないほうがいいんですよね。言語の本質は「通じ合えること」です。
元の意味とは違っても、みんながその意味で使うようになればそれでいい。どれだけ歴史のある言葉でも、みんなが使わなくなったら消えてゆくだけ。
このVirtual Photographyという小さな文化も、みんなが撮らなくなれば消えていくだけだし、逆に画像生成技術が進化して光学的なカメラ写真とそれ以外のものの境界があいまいになっていけば、わざわざVirtualだなんだと言わなくてもよくなるかもしれないよね。そのときは「ゲームフォト」くらいのほうがいいのかも。
名前も大切だけど、まずはみんなでVPという文化を盛り上げることが大事だよね。っておはなし。
前置きが本編になっちゃったとこで次回。