『Horizon Forbidden West』のフォトモードが凄すぎてクリア後もぼちぼち写真を撮って遊んでいる。
前作の『Horizon Zero Dawn』ではそこまで触っていなかったのだけど、今作のフォトモードは限りなく一眼レフのような遊び方ができるのだ。
逆に、カメラの知識なしに使いこなすのが難しいくらいになっているため、簡単な撮影テクニックを解説してみよう。
目次
何が凄いのか
グラフィックが綺麗になった最近のゲームにおいて、スクリーンショットを撮るというのは一般的な遊びとして認知されていると思うのだけど、そういった中でもこのゲームのグラフィックと細部への作りこみはすさまじいものがある。
例えばそこら辺を歩いている狩猟可能なトカゲでもこのクオリティ。
プレイヤーが干渉できない生物でもここまで作りこまれている。
また、ゲーム内での主な武器である弓で放った矢は敵に刺さっているところがしっかり描写され、折れたところまで表現されるのだ。
風景においても、ほぼ無限遠まで表示され、フォグなどの自然の表現も細かい。
なんといっても人物の描写。瞳に風景まで映り込んでいるのがわかるだろうか。
そして、これらを撮影するフォトモードには、よくある色彩表現などだけでなく、「焦点距離」と「絞り値」を細かく設定できる。設定項目は『DEATH STRANDING』に似ているが、設定内容がかなり現実に近いのだ。
加えて、本作の舞台は、アメリカのネバダ州からカリフォルニア州だ。ゲーム内のスポットの多くは実在する場所で、特にサンフランシスコはかなり建造物が残っている。GoogleMapや観光案内を見ながら散策すると、1000年後のアメリカの観光地を撮り歩くこともできる。
以下のページで簡単な観光案内をしているので、気になる方は参考にしてほしい。
フォトモードの改善点
本作では、レンズは12、14、16、40、85、100、180mmが搭載された。
※1.07のアップデートで、35mm(フルサイズ)換算で10~300mmに修正された。最短距離も10cmから5cmにパワーアップ。
具体的には、10、18、20、24,デフォルト、28、35、45、50、55、58、60、105、135、180、200、300mmが追加された。
絞り値はf/1.2、1.4、1.9、2、2.4、2.8、4、5.6、8、11、16、22、64から選択可能。
※1.07のアップデートで、f/1.8が追加。
追加されたものの意義については後述。
ちなみに前作『Horizon Zero Dawn』のフォトモードでレンズに関する操作可能な部分は、「被写界深度のオンオフ」、「フォーカス距離」、「絞り値」のみだった。つまり、「焦点距離」が固定されておりズームやレンズ交換ができなかったということ。「絞り値」もf/1.2、1.4、2、2.8、4、5.6、8、11、16、22のみ。
細かい話をすると、画角の雰囲気は16mmから24mmくらいの広角レンズに感じるが、ボケかたは58mmのレンズ並みにボケるので、結構な違和感があった。
焦点距離を選べる意味
カメラ自体を近づけることと、レンズをズームさせたり、レンズ交換をすることは違う。
どういうことかというと、「焦点距離」が変わると、同じ「絞り値」でも被写界深度が変わる(ボケかたが変わってくる)のだ。
具体的には、「絞り値」が小さいほどボケかたは大きくなり、同じ「絞り値」であれば「焦点距離」が長いほどボケる。
実際に見てみよう。
下の写真は、「絞り値」をf/1.2に固定して、「焦点距離」を40mmと180mmとで比較したもの。
カメラの位置は変えずにピント面は人物に固定、「焦点距離」だけを変えてみると、180mmのほうが背景がボケているのがわかる。
つまり、「焦点距離」が長い方が背景を簡単にボカすことができるのだ。これがゲームの中でレンズを交換する一つの大きな意義である。
1.07のアップデートの意味
前述の追加されたレンズの焦点距離や絞り値には、割と明確な意味がある。
これは、実在のカメラレンズにより則した値が追加されたのだ。
焦点距離で言うと、40mmがあって、35mmと50mmがないのは、カメラマンからすると違和感を覚える。100mmがあって、105mmはないの?というか、135mmも欲しいんだけど、となるカメラマンは結構いると思う。なぜかと言うと、カメラレンズの歴史的にも、これらの焦点距離が有名だからだ。興味のある方はNikon、Cannon、Sony、Leicaあたりのレンズのラインナップを見てみて欲しい。
絞り値に関しても、そもそも絞り値というのは√2倍ずつの数値なので、それを1/3段ごとに表示したときの標準的な表記は、f/1.9ではなく、f/1.8なのだ。
今回のアップデートで、多くのカメラマンが自分が現実世界で愛用しているレンズと設定で撮影できるようになったと思う。
私が所有するレンズも、完全に網羅されてしまった。ちなみに、このゲーム内のレンズの設定を現実に存在するもので網羅しようと思ったら、100万円あっても全然足りない。
撮影術【基本編】
カメラレンズに詳しくない人でもある程度思った通りの写真を撮る方法を、ゲーム内のシステム条件で説明しよう。
まずは、思った通りの写真が撮れるようになろう。
人物を効果的に撮影する
人物を際立たせて撮影する、つまり、人物にピントを合わせて、背景や前景をぼかす写真を撮影する場合について。
全身を記録するのであれば「焦点距離」は35mm以上、上半身のカットを撮影するのであれば、85mm以上のレンズをとりあえず使用してみよう。「絞り値」はまずf/2.8~f/5.6程度でよいだろう。
もちろん、何をどう撮りたいかによって焦点距離や絞り値は変わるのだが、とりあえず、わからないうちは上記の設定を使ってみるとよいと思う。
動物(機械獣)などのネイチャーフォトを撮影する
現実世界の撮影だと、野生動物の撮影には600mmなどの超望遠レンズが使われることも多いのだが、ゲーム内では300mmが最大なので、基本は180-300mmを使用し、カメラ位置を近づけて撮影すればよいと思う。
あえて広角の12mmや24mmなどを使ってしっかり近づき、ローアングルから簡単に迫力のある写真を撮影できるのも、ゲームならでは。
戦闘風景を撮影する
撮影以前に、ゲームの難易度を下げておこう。撮影に気をとられていると、あっさり死ぬので。
アーロイと敵の全身を画角におさめたくなるところだが、思い切って見切れた写真を撮影するというのも迫力ある写真を撮るコツ。
がっつり見切れなくとも、アーロイや機械獣の一部が見切れているだけで印象は大きく変わる。
天体を撮影する
夜になれば(時刻設定で調整可能)、星空も撮影することができる。
ただし、時刻設定を調整しても、フォトモード中に雲は動かない。天気も変わらない。こればかりは満足のいく空模様になるのを待つしかない。風景や生き物の写真を撮るときに大事なのは、しっかりとしたイメージを持って、「待つこと」だ。
また、月の大きさは実際よりかなり大きいので、35mmでもこのような写真が撮影できる。
現実だと、こんな写真は500mm相当のレンズでないと撮影できない。
ちなみに、実際に300mmの焦点距離で撮影した月の大きさはこんな感じで、満月が出ているとその明るさで他の小さな星はほとんど見えなくなる。まぁこれは嬉しい配慮だと個人的には思う。
応用編
基本はあくまで基本。実際、どんな写真を撮るかは自由だ。
マクロ撮影
寄れるとこまで寄って虹彩を撮影。背景や瞳に移りこむ景色を厳選しだすときりのない世界だ。
圧縮効果
このゲームは現実世界よりも月が大きく表示されるのでこんな写真が撮れる。現実世界でこれを撮ろうとすると、被写体の人には遥か彼方まで離れて離れてもらう必要があって現実味がない。
ちなみに、圧縮効果は望遠レンズの効果と勘違いされがちなんだけど、焦点距離は関係ないよ。特にこのゲームでは、現実にはあり得ない「焦点距離」と「絞り値」の組み合わせが使えるので、いろいろ試してみよう。
レンズの歪みを利用する
カメラレンズというのは、基本的に歪むものだ。超広角レンズには顕著なデフォルメ効果もあって、これを利用すると、奥行きを強調した写真を撮ることができる。
影を操る
現実でもよく使うテクニックだが、あえて被写体をアンダーに撮影し、黒く塗りつぶして印象的な写真を撮ることができる。
お気に入りのレンズを見つけよう
私は現実世界で、24-70mmと70-300mmのズームレンズ、58mmの単焦点レンズと60mmのマクロレンズを主に使用している。
一番のお気に入りは58mm f/1.4のレンズなので、ゲーム内でもこのレンズの設定で遊んでいることが多い。
まさに、自分のカメラを担いでゲームの世界に飛び込む体験ができてしまうのだ。
実は私は風景写真はほとんど撮らず、超広角レンズもあえて所有していない。しかし、ゲーム内の雄大な景色を前に14mmのレンズを使ってしまうこともあって、こういう雄大な景色のある場所に住んだら、自分も超広角レンズを買ってしまうのかなぁ…などと考えてしまったりする。
撮影Tips
精密モードを使う
精密モードは、フォトモードでのカメラ位置などを精密に調整することができる。望遠レンズなどを使用していると、スティック操作で微調整が難しくなるので、活用しよう。
縦撮りを使う
もともと縦撮りをするような機能はないのだが、カメラロールを±89°まで調整できるので、実質縦撮りが可能だ。
ただし、カメラのロールを変更すると、ピッチ軸の変更ができなくなるので、思ったような写真を撮るのはなかなか難しい。
オートフォーカス切替
PS4/5のコントローラーであれば、R3のスティック押し込みでオートフォーカスモードが使用できる。
基本的にはデジタルカメラのと同じで、一眼レフの親指フォーカスの感覚に近い。
一度押し込むと、画面中心にフォーカスポイントが出るので、ピントを合わせたい場所にこのポイントを合わせる。
ピントがあったら、もう一度R3を押し込めば、もうピントは動かないので、画角の調整をすればよい。
当然、カメラ位置の奥行を動かすと、ピントがずれてしまうので注意。
ちょっとマニアックなお話をすると、実際の多くのカメラレンズは、「焦点距離」ズームで変えるとピントもずれてしまうのだが、ゲーム内ではそういったことは起こらない。
望遠レンズでしっかり「フォーカス距離」を合わせてから、任意の焦点距離に変更可能ということだ。ただし、被写界深度(ピントがあう奥行)は変わってしまうので注意しよう。
マニュアルフォーカス
画面上に物体が飛び交っていたりすると、現実同様オートフォーカスが思ったように効かないことがある。
そういう場合はマニュアルで「フォーカス距離」を操作する。
「絞り値」を短くすると、「被写界深度」が浅くなる(ピントが合う距離が短くなる)ので、「フォーカス距離」だけでは微調整が効かないことがある。そういうときはカメラの奥行位置で微調整したり、諦めて「絞り値」を大きくしてみよう。
「プレイヤーを隠す」の効果
「プレイヤーを隠す」をオンにすると、プレイヤーがダメージを受けたり、状態異常になった時に画面周囲に表示される色も消せる。
明るさと露光調整
「明るさ」と「露光」、何が違うのか。
ゲーム内の挙動としては、写真の明るさを「露光」で大まかに調整、「明るさ」で微調整できる、と覚えておけばよい。
「露光」の値を上げていくと、白トビ(白くなって何も見えない)したような画になったり、値を下げればアンダー(黒くつぶれて何が写っているかわからない)な画になる。
言い方を変えれば、かなり暗い室内や、夜の屋外で、もともと見えなかったものが見えるようになったりする。
つまり、明るさでもって写したいものを選択することが可能なのだ。
「明るさ」に関しては、そこまでダイナミックな調整はできない。あくまで写っているものの範囲で明るさを微調整できる、くらいの感覚で扱えばよいと思う。
本来の違いとしては、ざっくり言うと、「明るさ」は、画像のRGBの0-255の諧調を変化させたっぽい変化で、「露光」は、撮影時の露光量を増減させたっぽい変化(一段上げると光の量は倍)。みたいな話なのだけど、専門的なことは正直私も理解してないし、写真の編集ソフトによって挙動は違う気がする。
時刻の設定
説明は必要ないと思うのだけど、このゲームはオープンワールドで天体も動いている。
なので、私は戦闘中、結構方位を気にして戦っている。後から太陽を好きな位置に持ってこれるからだ。
自分と敵の位置取りなんかを考えて撮影すると、時間関係なく敵の後ろから月が上がってくるような写真を撮影したり、逆光にならないように撮影できる。照明やレフ板はないので、自然光だけで勝負だ。
おわりに
今回は現実のカメラマンがゲーム内のフォトモードに見事ハマった話なのだけど、私は逆もアリだと思うのだ。
フォトモードに思いっきりハマる人というのは、潜在的に写真を撮るのが好きな可能性が高い。
気になったら、実際のカメラを触ってみたらいかがだろうか。