2021年。今年の夏から6歳の娘と登山をするようになった。
私自身、まったくの登山初心者かというと微妙なところで、以前は結構頻繁に山に登っていた。ここ数年はご無沙汰で、持っていた登山靴もカビが生えたり劣化したりですべて処分済み。
レインウェアは昔破けて以来買っておらず、辛うじて残っているのはザック2つとこまごました備品。50Lのザックは加水分解でボロボロ。ヘッドランプはバンドが伸びきっているし、シルバーコンパスまで壊れている始末。せめて簡単な登山靴だけでもほしい。
ということで、KEENのピレニーズを買ってみた。KEENってサンダルのイメージが強かったのだが。
コレ、登山靴というよりはハイキングシューズなのだけど、あえて選んだ理由を残しておこうと思う。
目次
私の登山靴歴
割合としてはローカット:ミドルカット:ハイカット=1:7:2くらい。
ハイカットが少ないのは、日帰りの低山、あるいは登山からのキャンプや道のない山の中を走り回ることが多かったからで、ハイカットの登山靴の使用頻度が少なく結果的に長持ちしたからだと思う。
たいていはソールの剥がれや破損、アンクルパッドからかかとが当たる部分が破れたりするのが先で、靴底が減って履きつぶすというのはまれ。
印象としては、重装備でゆっくり移動が多いと靴底が減り、飛んだりはねたり高速移動が多いとソールの破損が多い。
靴の消耗の仕方というのは、その人の体重や装備、歩き方や足の形、用途により様々なので、どこにどういったパーツが使用されているかなどを経験から判断する必要がある。
私の用途
登山靴とは言ったけど、娘と登るのは低山のみで登山日前後は基本天気の良い日を選ぶ。雪山に行く予定はない。つまりアイゼンはつけない。
それに、娘が登山に飽きたらまた登らなくなるかもしれない。つまり、登山以外にも使える重さとデザインがいい。
片足800gのハイカットなんて普段使いできない。またカビが生えるのがオチに決まってる。
タウンユースできるもの
どっちつかずなものを買うのはあまり好きではないのだけど、靴というのは結構メンテナンスが大変。使わないものは自然と朽ちていく。
なので、タウンユースもできる登山靴というより、山に登れないこともないタウンユースという感じで選ぶことにする。
つまり何が大切かというと、最低限のソールの硬さにカットの高さ、デザインと脱ぎ履きのしやすさ。
普段使いできれば本格的な登山靴に移行しても下駄箱の肥やしにはならないので良いだろう。
最低限の防水能力
一般的な登山において足が濡れるというのは限りなく最悪に近い事態だ。普段使いだって防水性能はあるに越したことがない。
登山靴というのは基本的に防水機能がついていることが多いのだけど、登山靴コーナーには通気性重視のトレイルランニングシューズも置いてある。
今のところ、走る予定はないのでこういったものは選ばない。また走り回る必要が出てきたらスパイク地下足袋を履くつもりだ。
ソールは柔らかめがいい
岩場の多い筑波山に登ることが多いので、本当はソールの分厚く固いものが良いのだろう。
とはいえ、ソールが分厚くなると、どうしても重量が重くなる。比較的高価だし。
身体への衝撃にはちょっと目をつむり、動きやすさを優先してみた。このあたりのバランスは経験則だ。
アンクルパッドやインナーの素材
いつも破れるアンクルパッドからかかとの当たるインナー。
ここが丈夫なものがいい。
トウカップもアイゼン不要なのだから、足先を包むような形状の方がはがれにくそうな気がする。
そんなわけで、KEENピレニーズである。
もう一度書くが、この靴は種類としては登山に使えなくもないハイキングシューズだ。
実際使ってみて
実際に5回ほど筑波山を登り下りしてみて、かなりバランスの良いシューズだと感じた。
筑波山は日本百名山の中でも最も標高の低い山で、初心者向きとも言わるが、実際は岩場が多く足場は良くない。
スニーカーやかかとの高い靴で登っている人も見かけるが、私程度の技術と体力ではスニーカーでの登頂は厳しいだろう。
ソール
適度に柔らかい。6歳児と行動していると、頻繁にサッとしゃがんだりすること(一人ではありえない動作)が多いのだが快適だった。
とはいえ、その分犠牲になる耐衝撃性能は、登山靴用途としてはほとんど無いと言ってよい部類(これはハイキングシューズなので文句をいうことではない)。
足場をきちんと選ばないと、岩場や木の根の形状に合わせてソールも変形する。
もちろんスニーカーよりはマシだが、疲れはたまる。
たとえハイキングだとしても整備された道でなければ、あまりオススメできる靴ではないかもしれない。木で作られた階段なんかをひたすら登ったりすると、あっという間に土踏まずがやられる。
また、ソール自体のグリップ力もそこまで高くないと感じる。適度に変形するソールの柔らかさでグリップ力を補っている感じ。とくに下りでかかとから接地するとズルっといく。これまた、ハイキングシューズですから、と言われてしまえば、はい十分ですね。といった感じである。
トウカップが指の付け根あたりまで包んでいるので、ソールがつま先からはがれるということはなさそうだ。
防水性能
独自素材の完全防水ということだが、見た感じメンテナンスを怠ればすぐ水が染みてきそう。もってワンシーズンといったとこだろうか。
そもそも革製なので、定期的なメンテナンスは必要だ。私のように天候の良い軽登山しかしないようであればまず問題はないだろう。
ガゼットタンになっているので、足首あたりから水が入ってこなそうなのも良い。
通気性
革製の完全防水靴ということを考えると、存外蒸れない。
蒸れに関しては、靴下や、足へのフィット感の調整の方が大切だと思う。
カットの高さ
足首をがちがちに固めることはできないが、一番上のフックまで紐をかければ登山靴としても最低限の機能は果たしてくれる。
全体的に程よい固さで、よほどひどい転び方やねじり方でもしない限りは足首を守ってくれそうだ。
インソールやD環、フックの作り
付属のインソールはかかとがカップ型になっていてフィット感がよい感じ。とはいえ、作りとしてはスニーカーの付属品と大差ないので消耗してきたら買い換えようかな。ハイキング用途にしても少し薄すぎる。
D環やフックの作りもよくて、サッと履けてゆるみづらい。フックをすべて外すだけで抵抗なく靴の脱ぎ履きができるのが良いと思う。
フックを一つ外せば、タウンユースでも違和感がない。
ただ、足先の幅まで紐で調整できる感じではないので、革製とはいえ試し履きの時点で足に合わないと感じたら素直にやめておいた方がよさそう。
その他
アングルパッドからかかとにあたるインナーだけでなく、内部全体がこすれには強そうな素材でできている。
内部がメッシュ素材の靴だと、割とすぐ破れてしまう私にはよさそうだ。
重さを量ってみた
片足533g。革製であることを考えればかなり軽いし、登山靴としても軽い部類だろう。
最後に
登山靴選びはあいかわらず難しいなと思う。
レインウェアなどと違って合う合わないが顕著で、様々な山を年中登るとなると使い分けも必要になってくる。
今回は、ソールの厚さを犠牲に履き心地や軽さを重視して登山靴としてハイキングシューズを紹介してしまったのだけど、決しておすすめしているわけではない(そもそも登山靴は誰かのおすすめで買ってよい部類の装備ではないので、よくわからない方は注意してください)。
一応10年以上、本格的ではないといえ、登山をしたり雪中で行動したりしての選択なので、良いと感じている部分より、悪いと感じている部分を参考にしていただければ幸いだ。
初めての登山靴選びならば、自身の体重を含めた装備重量、登る山を踏まえて、専門店などで相談されて決めていくのが良いでしょう。(登山にハマってしまえば、ちょっとずつ増えていくと思います)