床が抜けたら、どうしよう
私の趣味は読書だ。そして、悩んでいる。いや、悩んでいた。
うちの床、唐突に抜けるんじゃねぇか?と。
「趣味は読書です」という一言にも、「毎週図書館に通ってます」から「一度、実家の床が抜けました」まで幅広い規模が想定されることを、決して忘れてはならないのである。
本棚は本の重さによって壊れることがある。本の棚なのに。だ。私は2回壊した。こんな世界、本当に間違っていると思う。
本の重さで家の床が抜けることがあるらしい。
これは、ニュースで知った。(ただし、そのアパートは木造だったらしい)
あの時の恐怖は今でも鮮明に思い起こされる。
妻は私の部屋に入ると、「この部屋の床、傾いてる気がする」と言って、出ていく。
蔵書の重みを心霊現象のように表現するのはやめてほしいものである。
この建物は鉄筋コンクリートだから大丈夫だよ?だよね?
ただ、実家には1万冊以上の蔵書があるのだ。ヤツらがこの家に来たらどうだろうか?(実家は、大量の書物を詰め込むことを前提に、父が建築した)
いくらでも情報が手に入るはずのインターネッツを駆使しても、一般住居の蔵書許容限界は判然としなかった。Google先生は神だと思っていた時期も合ったけれど、どうやら神は死んだらしい。
本当に大丈夫なのか?床が抜けることはなくとも、ゆがむことくらいはあるのではないか?ある日、ドアが開かなくなることは?机の上の鉛筆が、突然転がり始めることは?
万一住居を破壊してしまったら、損害賠償だけではない、人様の命を奪ってしまうかもしれない。
レイ・ブラッドベリの『華氏451度』(文庫版162.4g)の世界で、書物を所有ことが禁じられたのは、その重さゆえだったに違いない。
悩むな。計測せよ。
10年ほど悶々と悩むだけだったこの問題に、私はひとり立ち向かうことにした。したのである。
悩みとは、定性的なものだ。これを解決するには、定量的に調べ、考察するしかない。と、誰かが言っていたような気がする。
簡単なことだったのだ。
Don't Worry. Weigh!
家にあるすべての書物、その他の趣味物品重量を余すこと無く計測してしまえば良いだけのことではないか。
私は量り続ける。すべてを計測し、データを集めれば、そのへんの本棚を見ただけで重量が目測できるようにもなるだろう。
町ゆく人の持ち物を見ただけで、あれはだいたい何キロだな、と見当がつくようになるだろう。
そんなワケで(どんなワケだよ)、私は私のサイトを思いつきで開設し、調査を開始した。
「あなたの趣味は何ですか」と訊かれたら、
「趣味は○○。総重量○○キロです」と答えられるように。